『焦り』を味方につけよう
寒さもやわらぎ、太陽の日差し、
景色の中に春を感じるようになりました。
春は、社会人の仲間入りをしたり、
新しい場所での生活がスタートしたりと
新たなスタートや変化の多い季節です。
新たなスタート地点に立って、
ワクワクした気持ちでいっぱいの方、
不安と期待が入り混じったなんともいえない気持ちを感じている方、
人知れず新たな挑戦への意志を固めている方…。
その胸の内はさまざまだと思います。
不安と期待が相俟って、いいプレッシャーとなり
目標に向かっていければいいのですが、
時に不安が大きく成りすぎてこころの身動きが取れなくなる時もあります。
不安にばかり目が向き、焦っている状態。
『焦り』は混乱や判断力の低下、思考力の低下を招きます。
折角、目標を持ち希望に胸をふくらませ新たなスタートを切ったのに
不安と期待のバランスが崩れ、
『焦り』だけが先行してしまってはもったいない。
というわけで、今回は『焦り』から抜け出し目標をクリアしていくためのステップと
方法についてお話をしていきたいと思います。
まずは、自分の焦りに気付きましょう
焦っている時のことを想像してみてください。
「焦るな、焦るな」と、こころの中で唱え落ち着きを取り戻そうとしたり、
「今、やるべきことは?」「今、自分にできることは何?」と、
焦っている中でその状況を打破するためにやるべきこと、
できることを見つけ出そうと試行錯誤します。
その結果、
やるべきこと、できることを見つけて
軌道修正できる時ももちろんあります。
でも、「どうにかしなきゃ」という言葉が頭を駆け巡り、
出てくるのは「どうしよう」ばかり…。
落ち着こうとしても落ち着けない場合もあるのではないでしょうか?
そのような時私達は結果を急ぐあまり、
無意識に落ち着いた状況を作る作業が疎かになっていることがあります。
焦っている時は、呼吸や脈は浅く速くなり、
混乱して冷静に物事を考えることが難しくなりがちです。
混乱すればするほど、冷静な状態から離れれば離れるほど、
早くそこから抜け出したい気持ちが大きくなるので
つい急いでしまうものですが、そのような時にこそ物事を冷静に捉え
判断するために必要な「落ち着いた状態を意識的につくること」が大切なのです。
まず、焦っていることに気付く。
次に、呼吸や動きのスピードを落としてみましょう。
すると、ゆったりとした呼吸や動きとともに
気持ちがだんだんと落ち着いてきます。
現状把握と目標・目的の確認
「落ち着いた…」と感じ取れたら次のステップです。
呼吸や動きはスローペースを保ちながら「何に対して困っているのか?」
「何を心配しているのか?」「何をどうしたいのか?」と現状の把握をし、
目標・目的の確認をしていきます。
例えば、職場で初めて大きなプロジェクトのリーダーに抜擢された
Aさんという方がいたとしましょう。
Aさんは大役を任された嬉しさと同時に
いろいろな不安が湧き上がり
焦っている自分に気が付きました。
『焦り』に気付いたAさんは、呼吸を整え、落ち着いた状態を作り、
自分自身の現状を把握し、目標を確認してみると…。
「今の自分の知識やスキルでは足りないのではないか?」
「チームをまとめられる力がないのではないか?」
「うまくプロジェクトを進め、成功させることができるだろうか?」
という不安な気持ちがあることに気が付きました。
そして、Aさんの目標、Aさんが目指す姿を確認してみると…。
「自信を持っていきいきとプロジェクトを進めること。そしてプロジェクトを成功させたい」
という想いに行き着きました。
ここで、現状と目標・目指す姿が明確になりました。
プラス思考にシフトし、行動を変化させる
さあ、次に、この現状に何がプラスされ、
どのような変化があれば目標・目指す姿に近づくか?を考えてみます。
例えば、この現状に
「○○についての知識を身に付ける」
「○○ができるようになる。」
「わからないことを仲間に相談してみる」
というように今の自分に必要な何かをプラスしてみます。
また、
「チームをまとめられる力がないのではないか?」
「うまくプロジェクトを進め、成功させることができるだろうか?」
と、まだ訪れていない未来に対して
つい悪いイメージを描いてしまうという“癖”があるなら、
その後で良いイメージも描くようにしてみる。
というように自分がもっている思考の“癖”を変化させてみます。
このように、新たな思考へとシフトさせていくことで
気持ちや、行動に変化が起こります。
これらのステップを踏むことで、
「どうしよう。」という漠然とした不安感・焦りから開放され、
目標や理想の姿に向かって進みやすくなります。
そして、目標や理想に近づいている実感は自信にも繋がっていきます。
『焦り』は、根本に立ち戻り
自分自身をステップアップさせるチャンスに変えることができるのです。
『焦り』と上手に付き合って、ますます自分を高めていきましょう。
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